おけら史:さらば、おけら山荘 《vol.9 終章》 山崎一之

August 11, 2003

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    父は完璧な家造りを夢見て全力を出して来た。
    私は雨風を凌げる生活空間を造るために必死に働いた。
    お互い必死だった、と言うことでは理解し合えた。
    あとの考え方の違いは、この際、どうでもいい事のように思えた。

    一九七二年十二月三日のことであった。

    総工費二十四万円余、日雇い賃金一日三千円の時代である。
    その日の日記のページには短い一言が書かれていた。


    『おけら山荘完成。我不覚にも落涙す。』


    父に対する感謝の言葉は書かれていなかった。
    まだまだ若い二十四才の厳冬を迎える前の三国の山の中の出来事だった。

・・・・・完

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Posted by おけら牧場 ラーバンの森 | Trackback (1)