日本経済と農業 vol.2
August 31, 2004
(「福井の科学者〜地域に根ざす科学者運動〜」No.90/2003年2月掲載)山崎一之
2) 世界経済と日本経済
世界の所有する富は300兆ドルと一般的に言われている。経済活動に動く一年の貨幣が27〜28兆ドル。そのうち、実際に必要なドルは17〜18兆ドル、残りの10兆ドル程が毎年集積される富となる。つまり、この10兆ドルというのは、世界の富の3%に当たるのである。これは何を意味するのかというと、世界の富の平均銀行利子に当たる3%の経済成長がないと、富の預金者に支払う利子がなくなるため、どうしても毎年3%の経済成長が必要となってくるのである。しかし、この3%の経済成長が今日ではあやしくなってきた。最大の原因は環境問題である。イギリスの産業革命以来、世界は競って化石燃料と重金属それに化学物質を浪費してきた。その結果、排気ガスによる大気汚染、CO2排出による地球温暖化現象、重金属・化学物質による土壌水質汚染、更にガスによるオゾン層の破壊など人類にしのび寄る危機は日増しに増大しつづけている。しかし、人類は地球に負荷をかけつづける事により冨を築いてきたわけであるが、今後とも人類の滅亡とひきかえに経済成長を続けるのか、あるいは、人類の存続のために経済成長をやめるのか、人類は最初で最後の岐路に立たされているのである。
日本経済も競争相手が国内だけの時は勝ち負けによる富の移動は国内だけで、富が国外に流れることがなかった。ところが明治以後、外国の富を国内に持ち込むかあるいは国外に富を運び出されるかの時代が到来した。それ以来、世界規模の富の奪い合いの中に日本も参加していくようになるのだが、情報や運輸の未発達の時代は、それでも世界の富の奪い合いは地球をおびやかす程ではなかった。
ヨーロッパとアジアに於ける度重なる戦争は、人類に飛躍的な大量生産システムと大量輸送システムを提供するようになった。なかでも海上・陸上・空輸システムの大型化と高速化は人類の思惑をはるかに超えて核兵器だけが人類にとっての危機をもたらすものではなく、自由な歯止めなき近代化にストップをかけなければ日常的に人類が危機にさらされている時代に突入してしまったのである。
そんな中、日本の経済の肥大化は急速な円高を進め、西欧が数百年かけて進めてきた経済バランスと職種の平準化を日本の国家は太平洋戦争後、僅か30余年で構築せねばならなり難事業に直面することになった。それでも経済が右肩上がりの時はその難事業もそれほど難しいものには思えなかったものが、経済の右肩が少しずつ下がり始めた時、真綿で首をしめられるように社会のひずみが露呈してきたのである。経済成長率の僅か1〜2%の下落が、政治システム・官僚システム・教育システム・行政システム・会社システム・農業システム等、社会システムの大改革を要求される事になってしまった。
一方、経済界はインフレ導入のためのマネーサプライの増大を目指してはいるが、これは日本経済の上に君臨するアメリカ合衆国にのって確実につぶされる羽目になるはずである。円の増刷は、円の信用を落とし、円安傾向に向かう事になる。その結果、再び、日本の加工貿易は行きを吹き返すはずであるば、日本の一流企業は円安になればアメリカの国内を不安定にする事は確実である。この10年の間に銀行不安を作りだし、企業株を銀行が手離さざるを得ない方向に誘導し、ヨーロッパ・アメリカ合同資本が銀行株と有料企業株を買い占めても、まだまだ日本の企業は1ドル200円にでもなれば再び息を吹き返す事は事実で、そうなれば第一次産業の産物の流れさえもがあやしくなるのである。それ由アメリカの財界は日銀に対し、輪転機を回す許可を与えないはずだし、だからこそ日銀は国家組織から独立して存在しているのである。 つづく・・・






